高橋剛は2018年3月24日に永眠いたしました。
生前は皆様に大変お世話になりました。
高橋剛の作品や、企画・開発に携わった
数々の製品を愛して下さった方々に深く感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
メッセージ
ソフトウェア開発に魅せられて
自分の作りあげたソフトウェアが狙い通りに動き、
それを使う人の問題解決や創造性の高まりを実感できるのは、
この仕事の大きな魅力。
だけれども、ソフトウェアを生み出す過程、
それ自体にも強く惹かれる。
ソフトウェアという直接手で触れることのできないものを作るには、
関わる個々の人々の頭の中にある、ごく当たり前の概念さえも
共有し、再構築していくことが求められる。
それには、深いコミュニケーションや信頼が必要だ。
その上ソフトウェアは、動かなければユーザにとって何の価値もない。
そうならないために、概念を設計可能なレベルにまで落とし込み、
精密機器のような緻密さで作り上げる力がなければならない。
ソフトウェアを開発するというのは結構複雑なことなんだと思う。
しかし、そういう複雑な性質を持っているからこそ、
ソフトウェアを開発するという行為を経ることによって、
問題の本質に焦点を当てることが出来たり、
モノゴトをシンプルにするための創造性が引き出されたりする。
そのダイナミックさが、ソフトウェア開発のもう一つの魅力なのだろう。
頭でひねり出した理論的正しさだけではなく、
コードを書くこの手の感性を信じること。
それが、自分が書くコードと世の中をリンクさせ、
ソフトウェア開発のダイナミックさを引き出す道だと思う。
だから、どんな立場になっても、コードのそばにいるよ。(2012年11月記)